高血糖が続くと心配なこと

高血糖の状態から糖尿病になった場合、さまざまな合併症のリスクがあります。
ここでは、血糖上昇のメカニズムや日常生活に影響をおよぼす合併症について解説します。
血糖が上がるメカニズム
血糖値は、血液中の「ブドウ糖」の濃度を示し、ブドウ糖は体のエネルギー源として利用される糖質の一種です。
食後に血糖値が上がる仕組みについて説明します。
まず、食べ物に含まれる糖質が体内で単糖に分解され、その中のブドウ糖は血液中に吸収されます。
その血液中のブドウ糖の濃度が血糖値と呼ばれるものです。
血糖値が上昇すると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませ、エネルギーとして利用を可能にします。
しかしながら、インスリンの働きが弱くなると、血糖値が高くなり「高血糖」と呼ばれる状態になるのです。
高血糖による合併症
糖尿病の合併症は、血糖値が長期間高い状態で引き起こされる病気や障害のことです。
これらの合併症は、数年から数十年の経過でゆっくりと進行し、かなり進行するまで自覚症状がなく、気づかず内に重篤な状態になる場合もあります。
糖尿病の合併症を2つに分けて説明します。
1つ目の分類は、糖尿病に特徴的な合併症で、細い血管が傷つけられて生じます。代表的な症状は以下のとおりです。
- 糖尿病神経障害: 神経が傷つき、手足の感覚障害や痛みを引き起こす
- 糖尿病網膜症: 網膜が傷つき、失明の原因となる
- 糖尿病腎症: 腎臓が傷つき、腎不全を引き起こす
2つ目の分類は、高血糖で血管がかたくなったり、狭くなったりする「動脈硬化症」(いわゆる血管の老化)が原因の病気です。
血管の老化による合併症は以下のとおりです。
- 心筋梗塞: 心臓の血管が詰まり、心臓の筋肉が損傷する
- 脳梗塞: 脳の血管が詰まり、脳の機能が障害される
- 末梢動脈疾患: 手足の血管が詰まり、痛みや潰瘍を引きおこす
- 足病変(足えそなど): 足の血管や神経が傷つき、足の切断のリスクが高まる
これらの合併症を予防するためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 血糖値を目標の値にコントロールする
- 糖尿病の治療を中断しない
- 血圧・コレステロールの値をコントロールする
- 禁煙する
- 適正体重を維持する
高血糖による合併症は、早期発見と適切な治療が必要で、定期的な医療機関の受診と糖尿病治療の継続が重要です。
血糖値を上げないために知っておきたいこと

自分に必要な1日の摂取カロリー
日に必要なカロリーは、性別や年齢、体格や身体活動レベルで異なります。
平均的な体格の成人が1日に必要とするカロリー摂取量は、以下の表をご参照ください。

厚生労働省「1日に摂取する訂正なカロリーは」より作図
30代から40代の1日の摂取カロリーの目安は、下記のとおりです。
- 女性の場合1,700~2,300kcal
- 男性の場合2,250~3,050kcal
ただし、これは一般的な目安であり、デスクワーク中心の方や肉体労働が多い方など、個々の活動量によって必要なカロリーが異なります。
必要なカロリーの計算方法は、下記で算出できます。
1日に必要な推定エネルギー必要量 = 基礎代謝量 × 身体活動レベル
基礎代謝量を知るにも計算が必要で、やや分かりにくいですが、計算してくれるサイトなどもありますので活用してみるとよいでしょう。また、職場や地域でおこなわれる定期健康診断でも、血糖管理や食事指導について相談できます。
食後の血糖急上昇
食後高血糖とは、食後の血糖値が基準値を超え、なかなか下がらない状態を指します。
正常な人でも食後の血糖値は上がりますが、食後高血糖の症状は、血糖値が140mg/dlでかつ時間が経ってもなかなか下がらないのが特徴です。
自覚症状がなく、血液検査でしか確認できないため、放置すると糖尿病に進行する可能性があります。
食後高血糖の段階では、食事の摂り方や活動量などの生活習慣を見直すだけで血糖値を正常に戻せるといわれています。
血糖値を上げない食事のとり方
血糖を上げにくくするには、食事の摂り方も重要です。血糖値を緩やかにするには、以下の方法を試してみましょう。
規則正しく食事を摂る
朝食・昼食・夕食をできるだけ同じ時間に食べる習慣は、血糖の安定につながります。規則正しい食事のメリットをまとめました。
適切な食事量と血糖の安定
食事の回数が少ないと血糖値が上昇し、1回の食事量が増えるとその傾向が強まります。また、食事の間隔が長いとインスリン(血糖値を一定に保つ働きのホルモン)を分泌する膵臓の負担を軽減します。1日3回の食事は、間隔が5〜6時間になり、1回の食事量を適切にすれば血糖値の上昇を抑えることができるでしょう。
食べる時間帯の影響
夜遅い食事は、血糖の上昇や肥満にも影響します。食後すぐに横になると血糖値が上がりやすく、脂肪の蓄積につながります。夕食が遅くなる場合は、夕方に炭水化物を摂り、帰宅後に炭水化物の少ないおかずを食べる工夫をしましょう。
1日3回、リズムよく食事を摂ることで食後の血糖上昇を抑制できるでしょう。
おかずから先に食べる
食事の際は、まず野菜や肉などのおかずを食べて、次にご飯やパンなどの主食を摂るようにしましょう。ご飯やパンを食べる前に食物繊維の多い野菜や海藻、たんぱく質を多く含む肉や魚を先に摂ると、血糖値の上昇が緩やかになります。
よく噛んでゆっくり食べる
食事はゆっくりよく噛んで食べるのが重要です。早食いやドカ食いは急激に血糖を上げる原因となります。
食事を小分けにし、皿数を増やしたり、1口の量を減らしたりして食べる回数を増やすように注力しましょう。
さらに、よく噛む必要のある固い食材を選び、噛む回数を増やす工夫も大事です。
糖質は適量にする
糖質を適切な量に抑えるには、とくに間食を食べる際に注意が必要です。
おやつを食べるときは、低糖質のケーキやナッツ類などを選択肢にいれましょう。また、果物にも糖質が含まれるため、1日分の目安は片手に乗るくらいが適量です。
食事以外では活動量に気を付ける
血糖値を上げないためには、適切な活動量を身につけることも重要です。
日常的に体を動かす習慣を作る
歩くことや自転車に乗ることなど、体を動かす習慣を取り入れましょう。
エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使うのも良い習慣です。
有酸素運動を行う
有酸素運動は、血糖値を下げるのに効果があります。
ジョギング、ウォーキング、サイクリング、水泳 などが有酸素運動の例です。
筋力トレーニングを取り入れる
筋肉を鍛えると、血糖値のコントロールが改善されます。ダンベルやゴムバンドを使った筋力トレーニングを行いましょう。
ストレッチやヨガを行う
ストレッチやヨガを取り入れると、柔軟性が高まり体の代謝が改善されます。
運動は継続的すると効果が期待できるため、週に数回時間を設けて、有酸素運動やストレッチなどを行うのが理想です。
適切な活動量は、試行錯誤しながら少しずつ身につきます。自分に合った運動や生活習慣を見つけて、健康的な生活を送りましょう。
血糖値を上げにくい食べ物
血糖の急激な上昇を防ぐには、血糖を上げやすい食品を適量にして、血糖が上がりにくい食べ物を積極的にメニューに取り入れるのが大事です。
血糖値を上げやすい食べ物
以下の食品は、炭水化物や糖質が豊富で血糖値を急激に上昇させる要因となります。
- ご飯、パン、麺類(主に主食)
- 餅
- ジャガイモやサツマイモ
ほかに、ジャンクフードや清涼飲料水などは糖質を過剰に摂取しやすい食品です。
血糖値を上げにくい食べもの
糖質が少ない食べ物や、他の食材との組み合わせで糖の吸収が緩やかになる食品には、以下のものがあげられます。
- 野菜
- 果物
- 魚
- 海藻類
- キノコ
- 豆類など
食物繊維が豊富な食材は、糖質の吸収を送らせて、血糖値の急激な上昇をおさえます。
糖尿病と診断された方の食事療法は、個人の体質や状態によって異なるため、医師や栄養士の指導を受けながら自分に合った食事を実践してください
血糖上昇を抑えるために注目すべき栄養素
血糖の上昇を抑えるのに注目すべき栄養素について解説します。
- ミネラルの中のクロム(Cr)は、インスリンの効果を高め、血糖の上昇を緩やかにする
- 食物繊維は、血糖上昇の抑制や便秘予防などの効果がある
- 脂質(とくにオメガ‐3脂肪酸)は炎症を抑え、血糖値のコントロールに関わる
- タンパク質を摂ると、血糖値の上昇を抑える効果がある
以上の栄養素をバランスよく摂取すると血糖のコントロールをサポートします。
タンパク質は血糖値を下げる作用がある

タンパク質は消化吸収を遅らせるだけでなく、腸から血糖値を下げる「インクレチン」というホルモンの分泌を促します。
さらに、タンパク質は筋肉の維持に不可欠な栄養素であり、筋肉が増えると基礎代謝も上がります。
血糖値が気になる方にとって、タンパク質は重要な栄養素です。
肉や魚のタンパク質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。
ソース:インターネット
